2021/10/04
ジャズテナーサックスの歴史
ベルギーの楽器職人、アドルフサックス氏へ、フランスの軍楽隊から、
木管楽器で、トランペット、トロンボーンに対抗できるボリュームの
ある楽器を開発して欲しいとの依頼があった。150年ほど前?
クラリネットの歌口をまねて、シングルリードで、オーボエのメカを
まね、チューバのように、円錐管、つまりメガホンのような、先に
行くと太くなる形状の楽器が発明された、名付けてサクソホン。
僕がもし作っていたらキクチホンだった(笑)かは知らない。
クラシックの世界でも使われたが、あまりに個性が強く、
オーケストラではまれにソロに使われるだけだったようだ。
アメリカのニューオリンズ(正しくはオールリンズと発音らしい)
では、全く音楽教育を受けたことのない、黒人たちが、軍楽隊
の払い下げの楽器でジャズの演奏が始まった。ニューオリンズ
では、結婚式も葬式もブラスバンドが練り歩いた。
ジャズの世界でもやはり、アルトサックスが、花形だったが、
星飛雄馬のように現れたのが、コールマンホーキンズで、
独特なサブトーンで、テナーサックスも十分ソロ楽器である
ことが証明されてゆく。(例えが古くて申し訳ない)
ルイアームストロングがトランペットで、メロディを吹き、
クラ、トロンボーン、サックスが、同じコードを感じつつ
絡んでゆくジャズの始まり。
ベニーグッドマンから、サックスの時代になり、ホーク
(ホーキンズ)レスターヤングからモダンジャズが始まる。
このころまだロックはまだなかった。
戦後になり、レスターの遺産からパーカー、ガレスピー
のビーバップ革命が始まり、云々・・・。
テナーは、ロリンズとコルトレーンの時代となり、その
後を追う綺羅星のような、テナー奏者の時代が到来。
ジャズサックスほど、奏者によって個性の違う分野は
無いのでは?例えば、フルートやクラリネット、アルトに
しても、テナーほどいろいろな音があるわけではない。
なぜなのか?みんなで考えてみよう。
僕も長年テナーに取り組んできたけど、バイオリンと
チェロの中間のビオラのように、アルトでもなくバリトン
でもない、そのつなぎの曖昧な性格にあるのかもし
れない。アルトやバリトンはやはり、アルトやバリトン
の音しかしないから(笑)
例えば、スタン・ゲッツ、マイケルブレッカー、ソニー
ロリンズ、ウエインショーターとみな同じ楽器なのだけ
ど、ジャズファンの思い浮かべるイメージ、サウンドの
なんと違うことか?
日本でも世界でも大歌手は、2秒でわかる独特の個性
を皆持っている。あなたの好きな歌手をイメージして欲しい。
聞けば一瞬でその人だとわかるだろう。個性的なのである。
有名ジャズテナーの奏者も歌手に匹敵する個性をみな
持っているし、ジャズ奏者に、君は誰にも似ていないね、
という言葉は最高の誉め言葉なのである。
誰かに似ていて喜ぶのは、アマチュア、学生、3流どころ
だろう。
さて、菊地の考えるテナーサックスの音色の作り方という
動画をアップしたので、サックス吹きもそうでない人も是非
見て欲しい。最後にはライブ映像も楽しめるぞ。