2022/03/29
ピッチとアンサンブルの話(その3)
今日は、平均律と純正調の話。音楽の
音の高い低いは、昔からいろいろ研究さ
れていて、ピタゴラス音階(完全5度の組み
合わせで行くもの)やミーントーン、純正率
といって、正確に振動数整数倍の倍音を
積み上げてゆく、いわゆる倍音列に従った
音列などが存在、それぞれ長所短所がある。
その後、12のキーを平均してうまく演奏で
きる音階、調律法が、平均律と呼ばれるもの。
1オクターブは、振動数が2倍なので、1.06・・・・
(無理数)という、12乗根ルート2の数値分
づつ高くなるように半音階を設定したもので
ある。
門外の方には良くわからないと思うの
だが、いわゆる妥協の産物で、12キー同
じ位少しづつ狂っている音階。
例えば、ドミソは、純正率でいうと、振動
数、4:5:6の時が最もきれいにハーモニー
するのである。耳の良い奏者は、長3度と
長6度は、平均律より気持ち低めにすると
純正に近づききれいにハモるのを知って
いるので、そうするのである。
平均律で設計された、サックスや、クラ、
フルートでも、十分テンポが遅くて、和音
の響きが聞こえるときは、アンサンブル
時に、自分がコードの3,6度の時はちょい
低めになどと判断してピッチを取れたなら、
かなりなアンサンブル能力といえるだろう。
指揮者の岩城宏之さんの著書には、
世界最高峰のアンサンブル集団は、
ウィーンフィルだという。
飛びぬけた独奏者はいない代わりに、
個々人の音楽的耳のレベルが半端なく、
各人が自分が和音の3度なのか7度なの
かを認識して、指揮者の指揮通りにのみ
ならず、ピッチ、音量のバランスを考えて
演奏するのだそうだ。それは世界最高峰と
言われるわいなぁ。
例えば、弦楽器10人がソ、5人のミを弾いて
いるなかの一人なので、ピッチはこの
くらい、音量はこのくらいにしておこう・・という
判断を数十人が適切にしている集団なの
だそうだ。
ジャズの場合は、アンサンブルでも、単に
楽譜が強く、楽器がうまいだけではなく、
自身も、ある程度アドリブ能力も高く、アン
サンブル能力もある人をチョイスしていく
必要がある。
アドリブができる人は、
コードにも強いので、譜面を吹いてい
ても、自分は今3度なのか9度なのか
瞬時に把握できるはず、またリズムに
乗るグルーブ感も自分で乗るだけでは
なく、ほかの人の乗り方にも寄り添える
だろう。いいアンサンブルが期待できる。
ジャズ屋のソロイストは、中小企業の
創業社長みたいなもので、自我、自己
主張が強く尖がった人も多いのだが、
最近は女性でも能力の高い人が多い
ので、男女を適切に配置するというの
もバランスの良いアンサンブルを達成
する知恵かもしれない。
上手くコロナ禍を乗り越えたら、僕の
ライフワーク、サックスマシーンズも、
新作を増やして再開していきたい。
目指すのはホールコンサート。
イメージすることはこれまで実現して
きているので、全国でホールコンサート
ツァーも実現させたいと願う。